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"2024S1 IMPC Week4 鈴鹿" レースレポート

2月3日に「IMSA Michelin Pilot Challenge Series」の第4戦が鈴鹿サーキットで行われた。

今回のレースはGT4クラスとTCRクラスの混走レース。HiMA RACiNGはGT4クラスに参戦し、車両はBMW M4 GT4からAston Martin Vantage GT4へとスイッチしての初戦となった。

 

Vantage GT4はM4 GT4と比べて一回り小さく軽量なボディと、より大きくパワーに優れたV8ツインターボエンジンをフロントに搭載した英国生まれの紳士的な車両である。

 

このシリーズは2時間のレースを1人のドライバーが走るイベントとなっており、しーなありさが13時のレースに挑んだ。

予選 :  5位 気温 23℃/路面温度 38℃

予選は高めの路面温度の中で行われた。

今回の予選もiRacingでは通常の2ラップアタックの予選となり、レースを有利な位置からスタートするため各車凌ぎを削る。1周目のアタックでは2コーナー出口でリアが流れ加速が鈍ってしまう。その後はスプーンカーブの2つ目でCPからライン1つ分膨らんでしまいタイムは2:10.095を記録し6番手となる。続く2周目のアタックでは先ほどのミスを修正し、2:09:664で5番手にポジションを上げこのまま順位を守り決勝のスタート順位が確定した。

決勝 : 3位 気温 23℃/路面温度 38℃

ローリングスタートとなった決勝は最終コーナーからマシンの咆哮が高鳴り2時間の旅路が始まった。

Pista × HiMA RACiNG Vantage GT4の周りは接触もなくクリーンに1コーナー、2コーナーをクリアしていった。しかし後方では27号車M4 GT4と29号車Vantage GT4が2コーナーで交錯。幸い大きな事故には繋がらなかった。

視点を前に戻すとスタート直後からトップ3台が激しいバトルを展開しながら周回を重ねていく。それを追うように5号車718 Cayman GT4、Pista × HiMA RACiNG Vantage GT4と11号車AMG GT4が続いた。


1ラップ毎にトップ3台と4位集団で差が広がっていく状況の中で5番手を走るPista × HiMA RACiNG Vantage GT4は前を行く5号車718 Cayman GT4の後ろから離れずついていく。この2台を追いかける11号車AMG GT4は少しずつ遅れ始める。

5号車718 Cayman GT4と比べてPista × HiMA RACiNG Vantage GT4のペースは優れていたが、オーバーテイクの難しい鈴鹿サーキットでは抜き切るにはスピードが足らず我慢を強いられた。

 

順位や状況は変わらず前方の5号車718 Cayman GT4とは0.3秒、後方の11号車AMG GT4とは0.8秒の差。トップ集団からは1.8秒差で迎えた9周目にレースが動いた。11号車AMG GT4が130Rでスピン。続く11周目には目の前を走る5号車718 Cayman GT4が2コーナー出口でリアが流れてスピン。これにより4番手へと順位を上げる。周りがクリアな状態になり自分のペースで走れるようになったがトップ3台に追いつくには0.5秒以上タイムが足りず、しかし後方の車両より0.5秒速いペースを維持しながらの走行となり1人旅のレースとなった。

ピットタイミングが近づいてきた19周目。トップを走る車両が最初にピットへ動いた。

それを皮切りに20周目には2位の車両がピットへ。しかしPista × HiMA RACiNG Vantage GT4はピットタイミングを伸ばし24周目にピットイン。フルサービスを行いピットを後にした。

その直後の25周目。ピットタイミングを遅らせた1号車M4 GT4がピットアウトしてきた。その真後ろにPista × HiMA RACiNG Vantage GT4がつける。これで4番手争いが始まったが、前を行く車両はトップ集団で走っていた車両。ペース差が大きく1周毎にその背中は小さくなっていった。


その後は自分のペースを維持しながら最終スティントに向けて戦略を整えていった。

Pista × HiMA RACiNG Vantage GT4は38周目に最後のピットに向かう。上位陣の中では1番乗りとなったピットイン。ここでもタイヤ交換と燃料を入れるフルサービスを行ったが、タイヤ交換が終わる前に燃料が入り切ってしまい8秒程のタイムロスとなり10番手でコースに戻った。

これにより前に24号車AMG GT4が立ちはだかることとなったが、ピットを控えている前方の車両は無理に抜かなくても順位を1つ上げることはできる。しかしそれではピット前に居た4番手の位置に戻ることが難しくなるため出来る限り早めにオーバーテイクをして有利な位置を確保したいところであった。

だが鈴鹿サーキットは簡単にオーバーテイクすることが出来ないサーキットだ。

24号車AMG GT4のペースはPista × HiMA RACiNG Vantage GT4と比べると1秒程遅れていたが、前に出ることがが出来たのは40周目。130Rをクロスラインで立ち上がり日立Astemoシケインのアウト側から並びかけ、サイドバイサイドでシケインを立ち上がり1コーナーのアウトから仕留めた。

しかしこの時24号車AMG GT4と並走しながらホームストレートを走っているとき、前方から11号車AMG GT4がピットアウト。結果的に38周目のピットでのタイムロスと24号車AMG GT4に引っ掛かってしまったことで11号車AMG GT4にオーバーカットを許してしまう形となった。


11号車AMG GT4に先行を許してしまったPista × HiMA RACiNG Vantage GT4。この時点でレースは残り30分でこの2台の争いは実質3番手争いとなっており、表彰台をかけた戦いは1つのミスも許されない手に汗握る展開となった。

0.3秒~0.6秒の差で周回を重ねていく中で何度かオーバーテイクを試みたが相手も巧みにこちらを抑える。相手に対してプレッシャーを与え続けるも動じることはなく時間だけが過ぎていく。残り時間が刻々と減っていく中で徐々に焦りが見え始め、走りにも少しずつ小さなミスが出始める。

ただそれは相手も同じでコーナーの脱出でリアが流れることが多くなってきた。しかしそれは決定打とはなることはなく一向にその差は変わらなかった。

膠着状態が続いた48周目。日立AstemoシケインのブレーキングでPista × HiMA RACiNG Vantage GT4が11号車AMG GT4をオーバーテイク。これによって実質的に3番手に浮上する。この時点で残りレース時間は15分を切っており相手も簡単に引き下がるはずもなく、アグレッシブにこちらを攻めたてる。

こちらも負けじと相手を引き離すべくマシンを限界までプッシュする。だがバックモニターに映る11号車AMG GT4の姿は小さくなることはなく、むしろモニターを見るたびに大きく映り込み、常にプレッシャーを与えてくる。


毎周1コーナーのイン側を相手が窺ってくるのを抑え続けるPista × HiMA RACiNG Vantage GT4。

お互いに速い箇所に違いがあるため抑えるべきところを見極めながら走らなければならなかったが、ここにきてこの争いをする原因となったピットでのフルサービスが効果を発揮し始めた。11号車AMG GT4はピット時間を短くするため燃料補給だけで行っていたためタイヤが厳しく徐々にマシンがふらつき始めることが多くなった。それに対してタイヤ交換を行っていたPista × HiMA RACiNG Vantage GT4はこの状況においてもタイヤの優位性から安定した周回を行うことが出来た。トラクションがかかりづらくなってきた後続車との差が少しずつ開いていき、計14周に渡る3位争いはPista × HiMA RACiNG Vantage GT4が制してVantage GT4に乗り換えてから初めてのレースで表彰台を獲得した。

しーなありさ

Vantage GT4に乗り換えてから初めてのレースで3位を獲れたのは非常に嬉しいことです。

今回のレースに向けて熟成があまり進んでいない状態で挑むことになってしまったので、不安要素が大きかったのが正直なところでした。

 

持ち込んだセッティングの方向性は決して悪いものではありませんでしたが、レースが進む中で改善できそうなところも見つかったりしたので、次戦ハンガロリンクに向けて修正できればと思います。

 

戦略面では2回目のピットストップで大きくタイムロスをしてしまいオーバーカットを許してしまいました。

もう少し余裕を持った展開に持ち込めていたところを自分で苦しい状況にしてしまったのは勿体無いシーンでした。

 

前回のRoarではドライビングの面で大きなミスが多く結果を落としてしまいましたが、今回は強いレースが見せられたと思います。次も強いレースを見せられるように走ります。



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